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【子育て】ドラえもんは本当に教育に悪いのか?【ドラえもん】

ドラえもんが教育に悪い?

ドラえもんは教育に悪い、という意見を目にすることがあります。中には発禁にしろなんて極端な意見もあるようで。
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最近だと辻仁成さんが、「フランスでは放送禁止〜」「やっぱり間違い、有料放送では流れてました」なんて発言していました。
真偽のほどはともかく、放送禁止の理由というのが、子どもの自立を阻害するとかなんとか。

どういうことかというと、ダメ人間の見本のようなのび太の願望を、なんの努力も苦労もなく、ドラえもんが不思議なポッケで叶えてくれてしまう。
これが教育に良いわけがない、ということのようです。

フランスじゃなくても、放映禁止になっているところもあって、ドラえもん禁止の一方では努力によって成功するスポ根ものの日本産アニメがウケている国だったりすることもあるようです。

まあ、親のメンタリティとしては頷ける面もありますよね。我が子には努力を惜しまず苦難に立ち向かっていく子になって欲しい。
努力せず、安易にドラえもんというコネに頼る姿をマネして欲しいという親はあまり居ないと思います。

でも、本当にそうなのでしょうか?
幼少期、藤子不二雄ジャンキーだった僕からすると素直に頷けないのです。

のび太の願望は叶っているのか

ドラえもんは未来の道具を使って、願望、空想、夢の世界を実現させてくれる、というのはそのとおりです。
でも、大抵は調子に乗りすぎたのび太がやり過ぎて破綻するオチが待っています。

のび太の願望は、本当に安易に叶えられているのでしょうか?

のび太の野望が砕けるとき

「あったらいいな」な道具たち。
それは、「魔法が使えたらいいのに」「超能力があればいいのに」という空想となんら変わりないものです。

それでは、願望が思うがままに叶えばどうなるか。調子に乗ったのび太の暴走は、まさに濫用という言葉がふさわしい。
安易に道具に頼った結果、恐ろしい目にあうことも多々あります。

のび太がやり過ぎで自滅するパターンもありますが、ドラえもんの道具にはそもそも欠点も多い。
PL法糞食らえと言いますか、正直まともに考えれば即リコールものの欠陥としか考えられない、罠のような注意事項が仕込まれていることも多いです。
ちょっとミスると死にかねないんですよね。

これは、「世の中そう美味い話ばかりではないぞ」という教訓を示してくる、という意味では、むしろ説教くさい部類に入るんじゃないでしょうか。

まあ、作劇上、
ダメ人間の願望が叶いました!はい終わり!
では、漫画としてオチにならない、ということもあるんだと思いますが。

のび太の成長エピソードが泣けるのはなぜか

もう一つ、のび太くんの人物造形があまりにもひどい、というものがあります。

方や、文武両道に秀で、イケメンで人間的にも素晴らしい、非の打ち所がないスーパー小学生の出木杉くん。
マジメな静香ちゃん、当然ながら出木杉くんと一緒に宿題したりするわけですが、これに嫉妬を爆発させるのび太くん。

いやー正直ヒトとしてどうなの、というくらいの醜さを見せつけてくれます。
でも。人間って、完璧じゃない。欠点を赦すユルさも必要なんじゃないでしょうか?

のび太を馬鹿にするスネ夫も、もし出木杉と同じレベルの子ばかりのクラスにいたら劣等感を覚えてしまわないでしょうか?

そして、のび太くんは不快感を覚えるほどダメ人間っぷりを発揮してくれるんですが、それに憧れる子どもって居るでしょうか?
どちらかといえば、こうはなるまい、と思うのではないでしょうか?

感動的なエピソードの前フリ

ダメ人間オブダメ人間ののび太くんですが、キラリと輝くエピソードが時々あります。
うろ覚えではありますが、こんな話があったと思います。
  • ドラえもんが帰ることになり、のび太がこのままでは安心して帰れないからと、いじめっ子ジャイアンとの喧嘩にドラえもんに頼らず独力で挑む
  • 思い出の品を見て回想にふけっていたのび太だが、幼い頃におばあちゃんが何度転んでも起き上がる起き上がり小法師の話をしてくれたことを思い出し、立ち直る。
これらをみて感動を覚えるのは、日ごろのダメ具合があってこそ、ではないかと思います。
そして、こういう話を見た後でも、この作品が子どもの自立心を損なうと言えるでしょうか?


映画版の魅力はなにか

映画版も、全部観たわけではありませんが、たいていは道具で異世界などへの冒険を楽しんでいたところに、トラブルが発生します。
破滅的危機に巻き込まれるか、あるいは引き起こすかのいずれかで、解決しないと帰れないとか世界の破滅とかといった事態を突きつけられて、一転してシリアスな危機に立ち向かっていくことになります。
子どもたちにすぎない彼らが覚悟を決めて根性を見せる場面は、いい歳こいても目頭が熱くなるものがあります。

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映画版の特徴としてよく言われるのは、「映画版のジャイアンはいい奴」説です。
男気溢れる面倒見の良いキャラ、頼り甲斐のある男の中のオトコであります。でもこれも、普段の傍若無人、暴力万歳ぶりがギャップになっているんですよね。

また、のび太も最初は身勝手な動機から動いていることもあるのですが、困っている異星人や人々を見て、困難に立ち向かうことを決意します。相変わらずドジだったりはするのですが、メンタリティはもう完全にヒーローですよね。

規制なんてありえない

そんなわけでドラえもん、僕は大好きな作品なんです。

なので。

教育に悪いから発禁にしろとか放送禁止にしろという意見を見ると、メラメラと。

発禁なんてとんでもない!放送禁止なんてバカなこと言うな!
好き嫌いはあるかもしれないが、嫌いならば観なければ良いだけ。
子どもを堕落させる?余計なお世話。
あなたが自分の所の子どもに観させなければそれで良い。うちは観せようと思うし、勝手に機会を奪うようなことを主張しないでほしい。

と、言いたくなるわけです。



ドラえもんに限らず、テレビやマンガを観たり読んだからといって、必ずしも描写されていることや人物像を鵜呑みにして洗脳され、悪い影響を受けるなんてことはないと思います。見た上で、そこから何を感じ取るかが大事なんじゃないですかね。

もちろん暴力や性描写のキツいものを小さな子どもに見せたくはないですが、それはゾーニングをしっかりすることでアクセスをコントロールすべきであって、親が与えなければ済む話。
気に入らないから排除しろという意見は極端にすぎると思います。