【インスタレーション】階段に漂うものはなにか【作品紹介】
画像は気鋭の若手現代芸術家、ookinakaijyuさんによるインスタレーション作品です。
現在、ある民家の階段に展示されています。
インスタレーションとはなにか
「インスタレーション」とは空間芸術ともいい、造形物単体ではなく、それを展示する場所を含めた空間そのものを作品とするものです。
インスタレーション (英語: Installation art) とは、1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/インスタレーション)
今回は一般家庭の階段という、日常生活の場を表現の場所に選びました。
作品概要
【作者】ookinakaijyu
【作品名】"クモかぞく"/インスタレーション
【材質】紙、タコ糸、マスキングテープ、シール
蜘蛛の家族という設定で、
左が「クモピー」
右上が「クモとうちゃん」
右下が「クモかあちゃん」
だそうです。
ザックリとしたハンドメイド感が素朴さと暖かみを感じさせます。
クモピーには色鉛筆で顔が描いてあります。
うさぎのような耳があり、蜘蛛だけに糸で逆さまにぶら下がっていますね。
クモとうちゃんとクモかあちゃんは、ハートのシールで目と口を表現し、子どもへの親の情愛を表現しています。
展示方法はこのように、タコ糸で吊るす形となっております。
階段を昇り降りする際には、子どもの背丈では問題ありませんが、大人には著しく支障となります。
作品解説
本作品は、一般家庭を「お化け屋敷」にする、という構想のもとで製作された。
「クモかぞく」は蜘蛛であるが、雲のようでもあり、雲=クラウドサービスを連想させる。
インターネットで世界の隅々まで繋がった現代社会において、情報の洪水から逃れられない人々はweb(もともと蜘蛛の巣の意)に絡め取られた蝶のようなものとも言える。
階段の中空に配置されたことで、スマートフォンを眺めながら階段を登ろうとする大人は、不意に視界に飛び込んでくる白い物体に驚かされることになる。
子供にはぶつからず、大人の目線の高さになるように配置された蜘蛛たちは、スマートフォンなどの普及によって親子のコミュニケーションが損なわれることへの警句でもある。[masa/KAI現代芸術研究会会員]
ということなので、大人と子供での見え方、目線の違いを検証してみます。
子供目線
子どもの目線の高さでは、下をくぐるのに支障のない高さです。引っかかる心配はなく、通行にストレスを感じることもありません。
大人目線
階段にアプローチするところでは、壁に溶け込んで目立ちません。
ちょうど顔の高さに来ます。
スマホ目線
スマホを覗き込んだ場合の目線です。
下を眺めていると目に入りません。
登り始めると不意に目の前の高さに現れます。
まさに、空間を生かした、この場所あっての作品ですね。
これからもしばらく、新しい作品が投入される予定とのことなので楽しみです。
また新作が公開されたらレポートいたします。
※当エントリーはフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。